お元気ですか?

大好きな人たちと人生を楽しんでいますか。


なにをテーマに書こうかと迷いながら

2003年に『この記なんの記』ブログをはじめました。

2007年夏に、戦争の墓碑に心が惹かれ、、

気がつけば、「お墓ブログ」のようになりました。


戦争や軍隊が好きで載せているわけではありません。

通信兵だった父や防空監視隊にいた母から

聞かされた話は、

戦争は二度とあってはならない、起こしてはならない

という思いを強くさせるものでした。

ともすれば戦争の素顔が隠されたまま、

国家の理屈で議論が進みます。

同時に、国民の側にも、熱狂を生み出します。

しかし、戦争は、最悪の暴力です。

私は草の根の痛み、

どうしようもなく死に追いやられた人々の立場で

書いていきたいと思っています。


あまり楽しめないブログかも知れませんが、

お気軽に感想やコメントをお寄せください。


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64年ぶりの陸軍墓地訪問 : Yさんの記憶をたどる2008/10/16

64年ぶりの陸軍墓地訪問
Yさんは、旧知の方で今年80歳。
同じ学区に住んでいて、この9月に、
「9条の会」の集まりで出会いました。
そこで、戦争体験をうかがいました。
いくつもの興味深いエピソードがあり、
より詳しく知りたいと思いました。

お願いをすると、快諾してもらえましたが、
私に時間がなく、今日、ようやく話す機会を
もつことができました。

私が興味を惹かれたのは、陸軍墓地を
戦前に訪れた経験があるということです。
今日は、幸いにも晴天。
車で現地にいっしょに出かけて
その場でお話を聞こうと思いました。

時間通りに、車でお迎えにいくと、
杖をわざわざもって出てこられました。
「坂道が大変だと思ったから」ということでした。
このときは、実感がありませんでしたが、
お話を聞くとなるほどと思いました。

Yさんの生地は、大津市の観音寺です。
そこは、大津市にかつて存在した軍事施設に
もっとも近い町です。
大津市が軍都となるのは、明治7(1874)年のこと。
このとき、三井寺の広大な山野の一部に
大阪鎮台大津営所と錬兵場がつくられます。
そこが陸軍歩兵第九連隊の拠点となります。
観音寺は、錬兵場にほぼ背中を接する土地です。
ちなみに、私の生家も基地の近くにあります。

Yさんは、4人姉妹でした。
やがて、長等尋常小学校に入ります。
この小学校は、山手に三井寺。
明治の記念碑的な土木工事・琵琶湖疎水に面しています。
大津市でも最も美しい場所の一つにあると私は思っています。
同時に、軍都大津市の中心を学区内に抱いています。
すなわち、第九連隊の営舎も陸軍病院も、陸軍墓地も
すべて地域的には、学区内にありました。

Yさんといろいろ話ながら、陸軍墓地に向かいました。
「どうして、戦前に、陸軍墓地を見たことがあるのでしょうか?」
「小学校の高学年の遠足先といえば陸軍墓地でしたから」
「そうなんですか。」
「小学校を出て、ぼうぼうの草の坂道を延々と歩きました」
「大変だったのですね。」
「歩くのが大変でした。」
そのとき、はじめて杖の意味をリアルに悟りました。
Yさんの記憶のままだと、車で行っても、歩くことが必要だと
いうことになります。快諾していただいたのですが、
それなりに覚悟して来ていただいたことがわかりました。
いまは、墓地に直接、車で入れますからと云うと、
「へぇ、そうなんですか」という返事でした。

記憶をとりもどしてもらうのが一番だと思って現地へ
いきましたが、車だと、遠足の道とはずいぶんちがうはず。
駐車場に着いたとき、Yさんは怪訝な様子。
階段を上がって、最初に見える墓地は、1976年に移葬
された部分なので、記憶にはないところです。
そんな話をしながら、墓地を歩きました。
Yさんは、全体のイメージを思い出すのに苦労している様子。
「もっと大きな尖った三角の墓がありました」と
目を墓地の違う方向に投げています。
きっと遠足では墓地の最上段から入ったのだと思いました。
そこで、墓地内の坂道をゆっくり最上段に案内しました。

旧大津陸軍墓地は、平地ではなく、丘陵地に建設されました。
段々畑のような構造で、上段、中段、下段からなっていました。
これを利用して、上段は将校の墓地、中段は下士官の墓地
最下段は、兵卒の墓地と階級的に分けられていました。
日清戦争で予想外の病死者を出したために、中段に
兵卒の墓地を増設することになったのですが。

最上段に着いて、最も大きな井戸中佐の墓碑の前に、
イスを並べて、そこで話を伺うことにしました。
「遠足で陸軍墓地にきて、墓地について説明されましたか」
「いいえ」
「では、お参りとかお供えとかはどうですか」
「そんな記憶はありません」
つまり、遠足の目標地となっていたのでしょうけれど、
軍事教育の一環として使われたのではないのでしょう。
「いまと違っている点はありますか」
「こんなに家が近くなかったし、もっともっと暗かったです」
「この段で、ほかに変わったことに気がつきますか」
「これはなかったです。」
1976年のバイパス工事後に創られた記念碑をさしました。
「そうですね」

イスから立ち上がって、墓地を再び歩きました。
Yさんは、少しづつ記憶が戻る様子。
「ああ、これはありました」と草場彦輔少将の墓碑を指しました。
「向こうの墓地はどうですか、ありましたか」
「ええ、あっちはありました」
「大きな三角頭のお墓はこれでした」と
指さしたのは、浅野典則大尉の墓碑。
(一番上の写真がそのときのもの)

Yさんの記憶は、中段となるとあいまいになります。
きっと、遠足の目的が墓地見学にないからでしょう。
「ロシア人捕虜や中国人捕虜の墓碑をご存知ですか?」
「いいえ」

Yさんには、陸軍墓地以外に、戦前、戦後の戦争体験を
いろいろ聞かせてもらいました。
それについては、別の機会に紹介させて
もらいたいと思います。

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BIN★「この記なんの記」ブログ情報 August 12 , 2011



 西南戦争、日清戦争、日露戦争、シベリア出兵、日中戦争、太平洋戦争など、1867年から1945年の戦争にかかわる記念碑、戦死者・戦病死者の墓碑など。

戦争にかかわる碑

  ■ 忠魂碑・慰霊碑

    ○ 高島郡2町15村別の忠魂碑など

    ○ 大津市北部の忠魂碑(9柱)

    ○ 大津市南部の忠魂碑

民間墓地の戦没者

 □ 滋賀県の西南戦争の戦没者

 □ 高島市(高島郡)の戦没者

  ■ 西南戦争(西南之役) 1877年

   ● 戦病死者名簿

      *高島郡の戦病死者は15名(『高島郡誌』)

  ■ 日清戦争(明治廿七八年戦役) 1894~95年

   ,● 日清戦争戦没者名簿と墓碑の所在(旧高島郡)

      『高島郡誌』によれば、旧高島郡で日清戦争期の戦病死者は17名でした。

  ■ 日露戦争(明治三七八年戦役) 1904~05年

   ● 日露戦争戦病死者名簿 (旧高島郡2町15村版)

      ○ 旧高島郡高島町の日露戦争戦没者名簿

    ○旧高島郡安曇川町の日露戦争戦病死者名簿
○このブログに散在するのは、旧大津陸軍墓地の調査記録です。

 公的なものではなく、BIN★がいわばサイドワークとして行っていることです。変更や修正はこまめに行っています。なにかの目的で活用されるときは、ご連絡ください。
 □ ブロック 埋葬者名簿

     陸軍歩兵少尉から陸軍歩兵少将まで20基の墓碑がある

 □ ブロック 埋葬者名簿

     日清戦争期に戦病死した下士官の墓地

 □ ブロック 埋葬者名簿

     明治11年以降に大津営所で病死した下士官の墓地

 □ ブロック 埋葬者名簿(作成中)

     明治11年以降に大津営所で病死した下士官の墓地

 □ ブロック 埋葬者名簿

  ■ 大津市作成の名簿順

  ■ あいうえお順

     日清戦争期に戦病死した兵卒の墓地。士官候補生の墓碑1基。

 □ ブロック 埋葬者名簿

     明治8年から11年までに病死した下士官と
          兵卒の墓碑が37基


 □ ブロック 埋葬者名簿

     「下段西側」の134柱と「下段東側」の5基で合計139基。
         すべて兵卒の墓碑。


 □ ブロック 埋葬者名簿

     「下段東側」の墓地97基と「下段西側」1基の
          合計98基。すべて兵卒の墓碑。


 □ ブロック 埋葬者名簿(作成中)

     陸軍墓地に隣接した将校関係者の墓地
大津市の戦死者・戦病死者(明治44年『大津市志』による)

 □ 西南戦争の戦死者

 □ 日清・日露戦争
『大津市志』および「戦時事績」掲載の日露戦争戦病死者名簿

 □『大津市志』

 □ 滋賀郡膳所町

 □ 旧志賀町の日露戦争戦病死者名簿(戦時事績)